機械と人間


(2000/1/21)

私のいる研究室もそうなのだが、科学という名のもとに機械を人間に近付けようと我々は日々努力している。彼らの働きにより多くのことが刻一刻と「便利」になり、多くの可能性が拡がっていく。

こういう場所に身を置いていると、最先端で行なわれている研究とその成果を聴いたり、触れたりする機会が多くある。とても楽しいし、好奇心をくすぐられるし純粋に「すごいなあ」とか感じる。

だが時々思う。

人間の存在価値って何だろう。
人間自身の努力により「人間にしかできないこと」がどんどん狭まっていく。支配しているようで支配されている。

彼らが、私達が目指すものはなんだろう。

機械を「人間のように」する。
だが「人間」にはしないし、できないということを前提にさえしている。

ではその先には何があるのだろう。

決してできないことに少しでも近付こうとする。それは人間や機械や生活とかいう概念を超越した、非常に陳腐な言葉ではあるが、言うならば神のようなものに近付こうとあがいているのか。永遠にゴールのない行為。
だからこそ向かえるのかもしれない。
常に「進んでいる」という意識の為に?

私自身望み、願いつつも畏怖している「人間のような」機械。
そもそも線引きなど存在しないのかもしれない。どんなに研究が発展していっても、我々は永遠に努力し続けるだろう。
もしかするとそれが人間を人間たらしめている唯一のものかもしれない。

それでもやはり研究はすすむ。
無意味なことであると分かっていても問いかけずにはいられない。

その先には何があるのか?