平成10年3月吉日上程
炭火料理あれこれ
ここでは代表的な炭火料理をいくつか紹介します。
バーベキューなど大掛かりな物はいわば焼くだけですから割愛し、ここでは七輪に絞って紹介します。
炭火料理の利点と欠点
基本はサンマ
豪華に松茸
お餅もなかなか
こんなものもどうかな?
炭は燃えるとき炎を出しません。
これが一番大きな特徴です。
料理の基本「強火の遠火」と言うのは炎に直接触れたりあるいはその近くだと、「伝導」によって熱が伝わる割合が大きいために表面だけが焦げ中は生という状態になることを戒める物ですが、炭は炎を出さないために自動的に「遠火」になります。また燃焼温度も高いために「強火」
もまた自動的に満たされます。
このために表面にうっすら焦げ目がつくほどに焼くと芯まで火が通っている状態にできるのです。
グリルの宣伝に出てくる「遠赤外線」が大量に放出されているのです。
次に木炭は純粋な炭素であるために燃えても水を出しません。
「何を言っているのか」とお思いかもしれませんが、ガスや石油はその構造に水素を含むため(特にガスは多い)燃やすと水を出します。
日ごろはあまり気になりませんが、魚(特に干物)などを焼くとその違いが分かります。ガスで焼いた物は何かベチャベチャぬれた感じになります。
ちょっと気の聞いた鰻屋さんが炭火を使ってガスを使わないのはこの為です。
欠点としては何より面倒臭いという事が挙げられるでしょう。
しかしこれは炭火の持つ「風流さ」あるいは「祭りの雰囲気」で補ってあまりあると思います。
そうです。炭火料理はもはや「ハレ」の日の演出道具であって「ケ」の日の日常道具ではないのです。
四季折々の旬の物を焼いて食べる。あるいはつまみを焼きながらみんなで囲む、はたまたバーベキューに野趣を沿えるといった季節やムードを演出する物なのです。
以上の点を踏まえて純粋に炭火にむくのは「水分を嫌うもの」で「芯まで火が通ってほしいもの」となります。
たとえば焼き魚や松茸(ガスで焼くと水分で匂いが死んでしまう)、お餅、焼き肉などがむいている事になります。
逆に鍋物やフライパンなど焼き網を使わない料理は炭火の利点がありません。
ガスでも全く同じにおいしく出来上がるでしょう。
それでも仲間が集まったときなどにはその演出として利用する価値はあると思います。
七輪といえばサンマ。きっとみなさんそうお思いでしょう。しかし実はサンマは焼くのが難しいのです。
それは何故か?七輪で焼くとなればやはり季節は秋、このころのサンマは非常に脂が乗っています。この油がある意味曲者でもうもうたる煙の元になるのです。
しかしそれも風流と言う方、全くそのとおり。サンマを焼かずして何が七輪か、何が木炭か。
それでは行ってみましょう。
材料を用意する
首の後ろの所が盛り上がっているのがいいサンマです。
やはり油の乗っている方がおいしいでしょう。新鮮なサンマを見分けるには汁がパックの中に溜まっていないか、目がきれいか等が参考になります。
旬のころなら一匹100円もしません。2ー3匹買ってご飯は無し、日本酒でどうでしょうか。大根おろしがあるとさらに興を添えます。
付ける物は醤油だけでも十分ですが、好みによってぽん酢や酢醤油もおいしいです。
焼きかた
まず火をおこした七輪を用意します。始めは火が弱いですが網を掛けて、大根でもおろしながら気長に待ちましょう。
火が強く、網が十分に熱くなったらサンマを乗せます。(網が良く焼けてないとサンマがくっつきやすい)
七輪の大きさの関係上サンマは真ん中で2つに切るのが良いでしょう。
炭火の上以外はやけないので注意。うっかり七輪のわく上にはみ出してしっぽだけ生とかがなりがちです。
サンマに限らず魚を焼くコツはあまりひっくり返さない事です。2ー3回もひっくり返せば十分。
ひっくり返しすぎは身がはがれる原因になります。
ちょっと持ち上げてみて焦げ目がついて全体的にきつね色っぽくなっていたらたらひっくり返しましょう。
焼き上げるのに20分ぐらいかな?
おいしく焼きたい方はここがしんどいのですが、サンマから垂れる油が炭にあたると独特の匂いとともに大量の煙を出します。
これがサンマにかかると変な匂いの元になるので、団扇などでこれを扇いで吹き飛ばすのです。
垂れる前に油を吹き飛ばせればなおよし。頑張りましょう。
骨から身が簡単にはがれるようになったら焼き上がりです。網の端っこの方に寄せておきましょう。焼きすぎてしまいます。
もちろん皿にとってもいいですよ。
慣れない方や自信のないかた、煙の多さに閉口した方は干物を焼きましょう。かなり煙が減ります。サンマの丸干し(南紀には多いんだけど)、最高です。
他にも魚は何でも焼いておいしいです。基本はサンマと同じです。
塩焼きにするときは塩はよく擦り込みましょう。炭を少な目にして串にさして七輪のふちに架けるとよいでしょう。この時目やヒレには塩をたっぷり付けておくと焦げません。
魚釣りに持ってくと釣れたてが楽しめます。これがまたたき火で焼くのよりずーっとうまいんだ。
総合評価 サンマ | 風流さ | ★★★★★ | おいしさ | ★★★★★ |
準備の手間 | ★★★☆☆ | 煙の量 | ★★★★★ |
一年に一回はやらないと気が済まなくなります。「あぁ、秋だなぁ」と思うでしょう。 干物なら煙の量は3かな(物による)。それでも室内はきついかも。
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日本人以外は好まないという松茸。お吸い物にするだけじゃありません。
準備
まず網をよく洗いましょう。サンマの匂いなんかがあると興ざめです。
この時洗剤は使わない事。
洗剤の匂いがするぐらいならサンマの匂いの方がましです。鉄や真鍮のブラシで洗うとよいでしょう。あるいは亀の子たわしとか。
付けるのはポン酢がいいでしょう。塩もなかなか。これは塩をなめて松茸をぱくっとなります。
松茸は安くてもいいでしょう。もちろん香りを楽しむのですからあんまり香りの弱い物はだめですが。
曲がっていたりするのは問題ありません。高い物は料亭が使えばいいのです。
軽く水で流してほこりを取りましょう。この時ごしごし洗うと香りが飛ぶので注意。流す程度で十分です。
次に石突き(一番根もとの堅い所)を取りましょう。
それから適当に割いて(縦に手で簡単に裂けます)準備終了。
結構細く裂いてもおいしいので安心して貧乏ったらしく裂きましょう。この時包丁で切ると歯ごたえが落ちるので裂いた方がいいと思います。
焼きかた
七輪の上に網をおいて焼くだけです。あんまり火が強いと香りを損なうので小窓を閉めて火を弱めにしておきましょう。
いい香りがぷーんとしてきたら出来上がり。箸でひょいっとつまんでちょいちょいぱくっ。
日本酒をぐびり。
ああーよだれが出てきます。
総合評価 松茸 | 風流さ | ★★★★★ | おいしさ | ★★★★★ |
準備の手間 | ★☆☆☆☆ | 煙の量 | ☆☆☆☆☆ |
すごく良い香りがして、もうたまらなくなります。 ご飯を食べるならポン酢、お酒を飲むなら塩がお勧めかな。 ほかにも椎茸や舞茸なんかも行けます。 |
人が集まったとき、鍋のあとなど「朝まで飲むぜor語るぜ」状態のときなどは真ん中に七輪をおいて小腹がすいたときに餅など焼いて食べながらというのはどうですか。
準備
必要な物は「餅」
あと付けるものとして砂糖醤油やあんこ、きな粉、海苔etc、何でも好きな物をどうぞ。
焼きかた
魚と違って餅はこまめにひっくり返しましょう。その方が上手にまんべんなく焼けます。俗に「餅は貧乏人に、魚は金持ちに焼かせろ」といわれますね。
そのうち膨れてきます。中にはマンガの様にぷくーっと大きく膨れるのもありますが普通はちょっと膨らんで表面にひびが入ったら食べごろです。
熱いうちにどうぞ。
総合評価 松茸 | 風流さ | ★★☆☆☆ | おいしさ | ★★★☆☆ |
準備の手間 | ★★☆☆☆ | 煙の量 | ☆☆☆☆☆ |
お餅は結構お腹にたまります。食べ過ぎに注意してください。
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他には「焼き肉」もいいです。まさに本格、炭火焼き肉です。魚ほど煙も出ませんので、室内でも行けるかな?
ただし七輪は小さいのでせいぜい3ー4人までにしておきましょう。
あとは「するめ」「パン(これがまた香ばしくなるんだ。でも食パンは匂いが着くのでお勧めできません。バターロールがお勧め。)」「ジャーキー」等もいいです。
この辺は酒の肴にどうぞ。おいしいですよ。
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